夢で会えたけど......
シューちゃん元気ですか?
きょうは朝からしんしんと雪が降ってるよ。雪国みたいな降り方で、もうずいぶんどっさり積もってる。
でも、きのうはたくさん薪を切っておいたし、シューちゃんと何回か一緒に行ったあのリサイクルセンターまで粗大ゴミを出しに行って、帰りに食料も買っておいたから大丈夫。薪と食料があればとりあえず安心だ。きょうは外で作業できないから、ずっとストーブの前でぬくぬくしている。
こないだのお手紙にシューが夢に出てこないって書いたら、さっそく来てくれたね。だけど、通行人みたいな役だったから、よく憶えてなくて、惜しいなあと思ってた。そしたら今度は、ちゃんと主役で登場した。
だけど「違う。私が見たかったのはシューが元気で楽しそうにしている夢なんだ」って気づいた。夢に出てきてとか言っておきながら、ずいぶん勝手だよね。
その夢はいつものようにバカげた設定だった。
ちゃみこが忙しいんで何日かかーちゃんのところにシューを預けていて、その間にシューが死んじゃってないか気になっているんだけど、なぜかすぐシューを見に行かないでおしゃべりなんかしている。そろそろお風呂に行こうかという段になってやっと、どきどきしながらシューのいる部屋に入った。そうしたら、いつものベッドの上に寝ているシューは、べっこう飴みたいにぺちゃんこになっていた。ああ死んじゃったのかと思っていたら、むくっと顔だけ持ち上げて眠そうに目を少しだけ開いた。よかった、生きてたと抱き寄せているうちに、ぺちゃんこだったシューがだんだん立体的になって、犬の形に戻っていった。手のなかでシューのぬくもりを感じながら、オンオンとうれし泣きしているところで目が覚めたんだよ。
シューが元気なときにも何度かこんなふうな夢を見たことある。でもそのときは、起きたとき「なんだ夢だったんだ」とほっとしたのに、今は逆だもの。よけいかなしくなっちゃうじゃないか。
夢で会いたいなんて欲を出したからだね。反省する。
雲になったシューが笑っている写真を見たら十分なのに。誰かが来たとき、シューの思い出話をするだけで楽しいのに。
これからは写真でがまんしとくよ。もっと写真をたくさん見よう。だから、もし夢に出演するときは、喜劇でよろしくたのむよ。
去年、寝かせておくとブーブーワンワン言うので、よく抱っこしながら机に向かっていた。寝ているときのシューは、おじいちゃんなのに赤ちゃんみたいにあどけないね。
それはそうと、今見たら、私のフリースベスト、こっちにきてから薪ストーブの灰やら煤やらで真っ黒になったと思ったけど、このときすでに黒いわ。最初はシューと同じ色だったはずだけど。